電波が無いのに翻訳できるのは、3GBを持ち歩いているから
オフライン翻訳アプリが電波なしで動く仕組みを、専門用語を使わずに図で説明します。クラウド型との違い、「オフライン対応」と書いてあっても止まる理由もまとめました。
「電波が無くても翻訳できます」と言うと、たいてい不思議がられます。翻訳はインターネットの向こうでやるものだと思われているからです。
実際、多くの翻訳アプリはそうなっています。ただ、そうでない作り方もできます。この記事では、その仕組みを専門用語なしで説明します。
仕組みが分かると、「オフライン対応と書いてあるのに圏外で止まった」という経験の理由も分かります。
約3GB。写真にすると4000枚ぶんです。
通信しないので、圏外という概念がありません。
文字だけ対応で、声の聞き取りは通信が要るものがあります。
ふつうの翻訳アプリが動く道すじ
まず、よくある作り方を見ます。話した声はいったんインターネットの向こうのサーバーへ送られます。そこで声を文字にして、翻訳して、結果が手元へ返ってきます。
サーバーは非常に強力なので、速くて賢いです。端末は録音して送るだけで済みます。かわりに、電波が無ければ何もできません。送ることも受け取ることもできないからです。
地下、機内、トンネル、山あいの宿。「圏外です」と出て終わります。
私たちの作り方:材料を丸ごと持ち歩く
私たちは、翻訳の材料そのものを端末の中に置いてしまいました。約3GB。写真にすると4000枚ぶんです。
声を文字にする部分も、訳す部分も、読み上げる部分も、全部その端末の中で動きます。だから通信が要りません。送る仕組みを持っていないので、圏外という概念がそもそもありません。
ふつうのアプリの何十倍も重くなります。それでも、電波の代わりを持ち歩くと考えれば納得できる大きさだと思っています。最初のダウンロードのときだけ、Wi-Fiのある場所でお願いしています。
「オフライン対応」と書いてあっても止まる理由
ここが分かりにくいところです。他のアプリにも「オフライン対応」と書かれていることがあります。ところが圏外で使うと止まる。嘘ではありません。対応している範囲が違うのです。
多くの場合、オフラインで動くのは文字の翻訳だけです。キーボードで打ち込んで訳すなら動きます。しかし、声を聞き取る部分と読み上げる部分は通信が要るままです。
接客でも旅行でも、実際に使うのは「話しかける」ほうです。だから結局そこで止まります。確かめ方は簡単で、機内モードにして話しかけてみることです。
端末の中で動かすと、会話が外に出ない
副次的に、大きな利点がひとつ生まれます。会話の内容がどこへも送られません。
クラウドを使うということは、話した内容を外部のサーバーへ渡しているということです。商談の条件、お客様のアレルギー、家族の事情。ふだんは意識しませんが、扱っている情報は決して軽くありません。
端末の中で完結すれば、この心配自体がなくなります。「送っていません」と約束するのではなく、送る仕組みを持っていない、という状態です。
代わりに難しくなること
良いことばかりではありません。全部を端末にやらせるので、端末の性能がそのまま体験になります。
発熱もします。10分ほど続けて翻訳させると、本体が熱くなって2〜3割遅くなります。止めても3分は戻りません。サーバーでやっていれば起きない問題です。
また、翻訳の中身を軽くしないと動きません。軽くしすぎると人の名前から順に壊れていきます。速さと正しさは、だいたいいつも喧嘩しています。
どちらを選ぶか
結論を言えば、使う場所で決まります。
通信が安定した場所で、長い文章を正確に訳したいなら、クラウド型のほうが有利です。処理の力が桁違いなので、そこは正直に認めます。
一方、電波が切れる場所で使うなら、端末の中で動くもの以外に選択肢がありません。地下、機内、トンネル、山あいの宿、混雑した空港。ことばが必要な場面ほど、通信は弱いというのが、作っていて分かったことです。
よくある質問
3GB前後です。最初の一回だけWi-Fiのある場所でお願いします。
動きます。いちばん簡単な確かめ方なので、ぜひ試してみてください。
長文の精度では差があります。会話でやりとりする短い文では、実用的な差は小さくなります。
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