「お腹が痛い」の先が聞けない。外国人患者の受付で、言葉が通じないとき
病院・クリニックの受付に外国人の患者さんが来たとき、言葉が通じないまま問診票が埋まらない。医療通訳を呼べない時間帯でも、症状・持病・アレルギーをその場で確認する方法を、受付の手順に沿ってまとめました。
病院やクリニックの受付で、外国人の患者さんが立っている。「痛い」ということは分かる。でも、どこが、いつから、どのくらいなのかが聞けない。——受付の方から、いちばんよく伺う話です。
困っているのは受付の方だけではありません。患者さんのほうも、自分の体のことを説明できないまま順番を待つことになります。どちらにとっても不安な時間です。
この記事では、医療通訳を呼べない時間帯に、受付でどこまで確認できるかを整理します。診断の話ではありません。診察の手前で止まっている部分だけを、確実に埋める話です。
診察の手前で必要なのは、この3つです。ここを外さなければ、あとは普段どおりの流れに戻せます。
端末の中だけで訳すので、症状も持病も個人情報もサーバーへ送られません。
通訳の手配を待つあいだも、受付は止まりません。まず受付で聞ける形にしておく話です。
受付で止まるのは「診察」ではなく、その手前
外国人の患者さんの対応でいちばん時間がかかるのは、実は診察室ではありません。受付と問診票です。保険証の確認、初診か再診か、いつから、どこが、これまでにかかった病気、飲んでいる薬、アレルギー。日本語で書かれた問診票を前に、ペンが止まります。
書いてもらえないまま診察室へ通すと、今度は医師が同じことを一から聞くことになります。結果として1人にかかる時間が倍になり、待合室の全員が待つことになります。詰まっているのは医療の中身ではなく、その手前の確認です。
逆に言えば、受付で症状・持病・アレルギー・服薬の4つさえ取れていれば、そこから先は普段の診療とほとんど変わりません。
医療通訳は、いちばん必要な時間にいない
医療通訳の制度は年々整ってきています。電話通訳やタブレット通訳を契約している病院も増えました。それでも現場から聞こえてくるのは、「呼べる時間帯と、来る患者さんの時間帯が合わない」という声です。
夜間、休日、そして平日の受付が混み合う時間。外国人の患者さんが来るのは、たいていそこです。電話通訳につながるまでの数分、受付は止まります。窓口に列ができていれば、その数分を取ること自体が難しくなります。
通訳が要らないという話ではありません。説明と同意が要る場面には、必ず通訳を入れるべきです。ただ、そこへ至る手前の確認まで通訳を待っているのは、お互いにもったいない、という話です。
翻訳アプリを受付で使うときの、2つの壁
すでにスマートフォンの翻訳アプリを試した受付の方も多いはずです。そして、たいてい2つの壁にぶつかります。
1つめは電波です。多くの翻訳アプリは、話した声をいったんインターネットの向こうのサーバーへ送って、そこで聞き取りと翻訳をします。院内は鉄筋で電波が弱く、地下の検査室や奥の処置室では圏外になります。院内Wi-Fiに患者さん用の端末をつなぐわけにもいきません。
2つめは個人情報です。症状も、持病も、服薬も、患者さんの氏名も、翻訳アプリを通すたびに社外のサーバーへ送られています。個人情報保護方針や院内規程との整合を、誰が説明できるのか。ここで導入が止まっている病院を実際に見てきました。
この2つは、じつは同じ1つの原因から来ています。訳す場所が、端末の外にあることです。
通信を使わない翻訳、という選択肢
私たちが作っている TransferFriends(トランスファーフレンズ)は、翻訳・音声の聞き取り・読み上げの3つとも、スマートフォンの中だけで動かします。最初に言語のデータを入れておけば、あとは通信が一切要りません。
院内が圏外でも動きます。機内モードのままでも動きます。そして通信していないので、患者さんの症状も持病も、どこへも送られません。「外に出していない」ことを、患者さんの目の前で示せるのは、医療の現場では小さくない意味を持ちます。
対応しているのは86言語です。英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ポルトガル語・ロシア語・タイ語・インドネシア語など、実際に窓口へ来られる方のことばは入っています。
受付・問診で、そのまま使える流れ
使い方は3つの手順だけです。①アプリを開いて「対面」モードを選ぶ、②相手の言語を選ぶ、③カウンターにスマホを置いて話してもらう。訳文が画面に文字で出て、読み上げも流れます。こちらが日本語で返せば、相手のことばになります。
画面を上下に分けて相手側を180度反転させる表示があるので、カウンター越しにスマホを持ち替えずにやり取りができます。訳文は文字でも残るので、声だけで進めずに、患者さんと一緒に画面を指さして確認できます。
受付で取るとよい順番は決まっています。まずいつから・どこが。次に持病。そしてアレルギーと飲んでいる薬。この4つを画面の文字で確認してから診察室へ回すだけで、そこから先の時間がまったく変わります。
院内で先に決めておくと、迷わない
導入する前に決めておくと現場が迷わないことが3つあります。1つめはどこまでを受付で聞くか。症状・持病・アレルギー・服薬までにして、検査や治療の説明は通訳を入れる、と線を引いておくことです。
2つめは訳文を記録に残すかどうか。画面の訳文をそのままカルテに転記するのか、確認だけに使うのかを決めておきます。3つめは端末の管理です。受付共用の1台にしておくと、設定と言語データの管理が楽になります。
念のため書いておきます。診断・治療方針・同意が必要な場面では、必ず医療通訳を入れてください。アプリはその手前の確認を確実にするための道具で、通訳の代わりではありません。この線を引いておくほうが、結果として現場は安心して使えます。
よくある質問
使えます。翻訳も音声の聞き取りも読み上げも端末の中で動くので、機内モードのままでも動きます。最初に言語データをダウンロードするときだけ、Wi-Fiのある場所でお願いします。
送られません。通信を使わないので、会話の中身がサーバーを通ることがありません。院内規程との整合も説明しやすくなります。
なりません。診断・治療方針・同意が必要な場面では医療通訳を入れてください。このアプリは受付や問診など、その手前の確認を確実にするための道具です。
86言語です。英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ポルトガル語・ロシア語・タイ語・インドネシア語・ネパール語など、窓口で実際に必要になるものは入っています。
基本の翻訳は無料で使えます。App Store と Google Play のどちらからでも入れられます。
この記事のアプリは、無料ではじめられます。
iPhone・Androidどちらでも使えます。
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