「カードを作れば」が、言えない。図書館のカウンターで外国人の利用者に貸出の仕組みを静かに通す
図書館のカウンターで外国人の利用者に「カードを作れば借りられる」「二週間」「住所がわかるものが要る」が伝わらないと、本を持ったまま帰ってしまったり、借りられると知らずに諦めたりします。外国人の利用が増える公共図書館で実際に起きている行き違いと、静かな館内で小さな声のまま渡す方法をまとめました。
公共図書館の司書の方から伺った話です。インドネシアから来た方が、本を1冊抱えてカウンターに来て、小さな声で「これ、借りられますか」と聞いてきた。答えは「カードを作れば、二週間」。でも、それが言えない。
身振りで「カード」を示す。その方は首をかしげて、本を棚に戻して、帰った。借りられたのに、借りずに帰った。
この記事では、図書館のカウンターでなぜ貸出の仕組みが渡らないのか、そして静かな館内で、小さな声のまま渡すには何が要るのかを整理します。
借りられると知らない人が多い。この一言で、図書館が使える場所になります。
館内で声を張れません。近くで小さく話して、画面の文字で確かめます。
在留カード、公共料金の明細。書類の名前は、画面の文字で確かめます。
「カードを作れば」が、言えない
公共図書館の貸出には、決まった仕組みがあります。その自治体に住んでいるか通っている人は、貸出カードを作れば無料で借りられる。期間は二週間ほど。カードを作るには、住所がわかるものが要る。
外国人の利用者の場合、壁は「借りられる」と知らないことです。母国では図書館が有料だったり、外国人は借りられなかったりする国もあります。「カードを作れば」の一言が渡らないと、本を棚に戻して帰ります。
司書の方が言われたのは、「借りられます、と言いたいだけ。それを大きな声で言えない場所で、言えない言葉で」ということでした。
公共図書館で、実際に起きていること
外国人の住民は、図書館を必要としています。日本語の学習書、子どもの絵本、母国語の本、新聞。お金のかからない学びの場所として、図書館は外国人の住民にいちばん近い公共施設の1つです。
多言語の利用案内を用意している図書館は多い。それでも行き違うのは、カウンターでの短いやり取りが口頭だからです。「借りられますか」「二週間です」「住所がわかるものを」。この往復が、その人のことばで要ります。
そして図書館は、静かな場所です。大きな声で説明できない。身振りも限られる。小さな声のままで届く道具でなければ、カウンターでは使えません。
図書館で翻訳アプリが使いにくかった理由
スマートフォンの翻訳アプリを試した図書館もあります。壁は2つです。1つめは音。翻訳アプリの読み上げが館内に響く。音量を下げると、こんどは聞き取れない。小さな声で話して、文字で確かめる形が要ります。
2つめは利用者の情報です。住所、在留カードの番号、借りた本の履歴。図書館は利用者の情報を守る場所です。話した内容が外部のサーバーへ送られる道具を、カウンターで使うことには、ためらいがあって当然です。
必要なのは、小さな声で届き、訳文が文字で出て、話した内容が端末の外へ出ない道具です。
通信を使わない翻訳、という選択肢
私たちが作っている TransferFriends(トランスファーフレンズ)は、翻訳・音声の聞き取り・読み上げの3つとも、スマートフォンの中だけで動かします。最初に言語のデータを入れておけば、あとは通信が一切要りません。
話した内容は端末の中で訳され、どこへも送られません。住所や在留カードの番号を口にしても、その端末の中で完結します。訳文は文字でも出るので、読み上げを切って、画面だけでやり取りできます。
対応は86言語です。インドネシア語・ベトナム語・中国語・ネパール語・ポルトガル語・英語・フィリピン語(タガログ語)など、実際に利用される方のことばは入っています。
カウンターの30秒で、小さな声で渡す
カウンターにスマホを1台置きます。利用者が小さな声で話すと日本語で出て、司書が小さな声で話すと相手のことばで出ます。読み上げは切って、画面の文字で。館内に音は響きません。
渡すのは2つです。「カードを作れば、二週間借りられます。住んでいる場所がわかる書類を見せてください」。動画の「この本は借りられますか」には、この一言を返します。「借りられる」と分かった瞬間、その人の図書館の使い方が変わります。
書類の名前は、画面の文字で。「在留カード」「公共料金の明細」のような固有の書類名は、利用案内の見本と画面を並べて、一緒に指さして確認します。
図書館で先に決めておくと、迷わない
導入の前に決めておくとよいことが2つあります。1つめはカウンターの定型文です。「カードを作れば借りられます」「二週間です」「住んでいるところがわかるものを」「返すのはここに」。この4つを一度声に出して通しておくと、本番でそのまま出てきます。
2つめは音の決まりです。館内では読み上げを切り、文字で確かめる。声を出すのはカウンターの内側だけ。この線を決めておくと、静かな館内のまま使えます。
インドネシア語が話せるようになる必要はありません。必要なのは、「カードを作れば」の一言を、小さな声で渡すことです。
よくある質問
使えます。訳文は画面に文字で出るので、静かな館内では読み上げを切って、画面を一緒に見る形でお使いください。
近くで話せば聞き取れます。カウンター越しに、端末に近づけて話してください。
話した内容は端末の中で訳され、外部のサーバーへは送られません。ただし端末そのものの管理(画面ロック・履歴の削除)は、図書館の規則に沿ってお願いします。
86言語です。インドネシア語・ベトナム語・中国語・ネパール語・ポルトガル語・英語・フィリピン語など、利用される方のことばはたいてい入っています。
基本の翻訳は無料で使えます。App Store と Google Play のどちらからでも入れられます。
この記事のアプリは、無料ではじめられます。
iPhone・Androidどちらでも使えます。
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