夜の倉庫には、聞き返せる相手がいない。外国人スタッフと置き間違いをなくす
物流倉庫の夜勤で、外国人スタッフに荷物の置き場所や重さの注意が伝わらないと、置き間違いと事故につながります。棚の奥で電波が届かない理由、聞き返せない夜勤の構造、その場で確かめる方法をまとめました。
物流倉庫のリーダーさんから伺った話です。夜勤に入ったインドから来たスタッフが、荷物を持ったまま通路で止まっている。どこに置けばいいのか分からない。でも夜勤のフロアに、聞ける人はリーダー1人。
そのリーダーも、ヒンディー語は分かりません。身振りで棚を指す。うなずいて置く。翌朝、重い荷物が上の段に積まれている。落ちれば事故です。
この記事では、倉庫の夜勤のどこで止まるのか、そして聞き返せる相手がいない夜に、置き間違いをなくすには何が要るのかを整理します。
この記事の場面を、40秒の動画で
夜の倉庫の場面です。インド人のピッカーの「どこに置けばいいか分からない」が、棚の奥の電波の無い場所でリーダーに届くまでを40秒にまとめました。
棚の番号は指させます。「重いから下に」は指させません。抜けるのはそこです。
鉄骨の建屋と金属の棚に囲まれると、クラウドの翻訳は止まります。通信を使わないので、棚の奥でも動きます。
端末の中だけで訳すので、商品名や出荷先の話がサーバーへ送られません。
抜けるのは「場所」ではなく「理由」
ピッキングの仕事のうち、棚の番号を見て荷物を取る部分は、言葉が無くても覚えられます。端末が指示を出し、番号を照合すれば済むからです。止まるのはそこではありません。
止まるのは、番号に書いていないことです。「重いから下の段に」「こっちは割れ物だから上に重ねない」「この列は明日の便だから触らない」。指示書には書けない理由が、口頭でしか伝わらないのに、口頭では伝わらない。
結果、荷物は正しい棚に、間違った段で置かれます。置き場所は合っているのに、置き方が違う。翌朝の事故は、たいていここから起きています。
夜勤は、聞き返せない構造になっている
日勤のフロアには、同じ国から来た先輩や、日本語ができる同僚がいることがあります。分からなければ聞けます。夜勤は違います。人が少なく、同じ言語の同僚がいない時間帯です。
そして、分からないまま止まっていると、遅れているように見えます。聞くより、動いたほうが楽になる。それが置き間違いの正体です。責める話ではなく、構造の話です。
聞き返せる相手が1人しかいないなら、その1人との会話を確実にするしかありません。リーダーとスタッフの間に、言葉の道を1本通す。それだけで夜勤の置き間違いは減ります。
翻訳アプリを倉庫で使えなかった理由
すでにスマートフォンの翻訳アプリを試したリーダーさんも多いはずです。そして、たいてい1つのところで止まります。電波です。
倉庫は鉄骨の建屋で、金属の棚が何列も並んでいます。棚の奥に入ると、電波はほぼ届きません。多くの翻訳アプリは、話した声をいったんインターネットの向こうのサーバーへ送るので、いちばん聞きたい棚の奥で動かないことになります。
もう1つ、商品名や出荷先の話は荷主の情報です。それを社外のサーバーへ送ってよいのか。取引先との契約に照らして、誰が説明するのか。ここで止まっている現場も見てきました。
通信を使わない翻訳、という選択肢
私たちが作っている TransferFriends(トランスファーフレンズ)は、翻訳・音声の聞き取り・読み上げの3つとも、スマートフォンの中だけで動かします。最初に言語のデータを入れておけば、あとは通信が一切要りません。
棚の奥でも、地下でも、機内モードのままでも動きます。通信していないので、商品名も出荷先も、どこへも送られません。
対応は86言語です。ヒンディー語・ネパール語・ベトナム語・インドネシア語・フィリピノ語・ミャンマー語・シンハラ語など、倉庫で実際に働いている方のことばは入っています。
夜勤の入りに、確かめる順番
使い方は簡単です。アプリで「対面」モードを選び、相手の言語を選ぶ。作業台にスマホを置いて、日本語で話す。相手のことばで訳が出て、読み上げも流れます。相手が話せば、日本語になって返ってきます。
夜勤の入りに1分だけ使います。順番は①今日の担当エリアを相手に言ってもらう ②重い物・割れ物の扱いを1つずつ ③困ったらどこに来るか。①が大事です。こちらが説明するのではなく、相手に言ってもらうと、抜けている部分がその場で見えます。
そして、通路で止まっているスタッフを見かけたら、その場でスマホを出します。動画の「どこに置けばいいか分かりません」は、聞ける道があって初めて出てくる言葉です。聞ける道が無いと、置き間違いになります。
安全に関わることは、必ず確かめる
最後に、いちばん大事なことを書いておきます。「重い物は下に」「フォークリフトの通路に入らない」のような安全に関わる指示は、伝わったつもりで済ませないでください。
倉庫の事故は、落下と接触がほとんどです。どちらも「知らなかった」から起きます。訳文を画面に出して、相手に読んでもらって、うなずいてもらう。この30秒を惜しまないでください。
英語が話せるようになる必要はありません。必要なのは、抜けてはいけない一言だけを、確実に一度確かめることです。
よくある質問
使えます。翻訳も音声の聞き取りも読み上げも端末の中で動くので、機内モードのままでも動きます。最初に言語データをダウンロードするときだけ、Wi-Fiのある場所でお願いします。
送られません。通信を使わないので、会話の中身がサーバーを通ることがありません。荷主との契約との整合も説明しやすくなります。
機械のそばでは聞き取りが落ちます。作業台の脇や通路の端など、少し静かな場所で使うほうが確実です。文字で打って訳す方法もあります。
86言語です。ヒンディー語・ネパール語・ベトナム語・インドネシア語・フィリピノ語・ミャンマー語・シンハラ語・英語など、倉庫で働く方のことばはたいてい入っています。
基本の翻訳は無料で使えます。App Store と Google Play のどちらからでも入れられます。
この記事のアプリは、無料ではじめられます。
iPhone・Androidどちらでも使えます。
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