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何をされるか分からないから、こわい。歯科医院で、外国人の患者さんに今日の処置を先に渡す

2026.09.15

歯科医院で外国人の患者さんに「今日は何をするか」が伝わらないと、こわがったまま処置が始まります。医療通訳を呼べない診療時間に、削る・削らない、痛い・痛くないを処置の前に伝える方法と、線を引くべき場面をまとめました。

歯科の診察室で、白衣の歯科医が椅子に座った外国人の女性患者と処置の前に落ち着いて話している

歯科医院の先生から伺った話です。ベトナムから来た患者さんが、診察の椅子に座ったまま体をこわばらせている。今日は型を取るだけで、削らない。痛くない。それを伝えられないまま、器具を近づける。

患者さんは、前回の治療が痛かったのかもしれない。母国で歯科がこわい体験をしたのかもしれない。何をされるか分からないから、こわい。「今日は削りません」の一言が渡れば、それだけで変わるのに。

この記事では、歯科の処置の説明のどこが抜けるのか、そして処置の前に「今日は何をするか」を渡すには何が要るのかを整理します。診断や治療方針の話ではありません。その手前の話です。

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渡すのは「今日すること」だけ

削るか削らないか、痛いか痛くないか、何分か。この3つが先に渡れば、こわがらずに始められます。

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口の中の話が外に出ない

端末の中だけで訳すので、患者さんの症状や既往歴がサーバーへ送られません。

通訳を待たずに、その日のうちに

医療通訳を呼べない診療時間でも、処置の前の説明は止まりません。

こわいのは「痛み」ではなく「分からないこと」

歯科がこわいという患者さんは、日本人にも多くいます。ただ、外国人の患者さんのこわさには、もう1つ理由が重なります。何をされるか分からないことです。

日本人の患者さんには「今日は型を取るだけです」「少しチクッとします」「10分で終わります」と伝えています。この一言で、体のこわばりは解けます。外国人の患者さんには、この一言が渡っていません。

結果、こわがったまま処置が始まります。体がこわばれば処置はやりにくく、時間もかかり、次の来院にもつながりません。説明が無いことが、治療そのものを難しくしています。

明るい歯科医院で、手袋をした歯科医の手が型取りのトレーを持っている
「今日はこれで型を取るだけです」が渡れば、こわばりは解けます。

医療通訳は、処置の前の一言には来ない

医療通訳の制度は整ってきています。ただ、歯科の日常の処置に通訳を毎回入れることは、現実的ではありません。順番待ちと費用の両方で、日々の診療には間に合いません。

通訳が要らないという話ではありません。診断、治療方針、抜歯や手術の同意、費用の説明には、必ず通訳を入れるべきです。ただ、そこに至る手前の「今日は何をするか」まで通訳を待っていると、通訳の来ない日の処置は説明無しで進むことになります。

処置の前の一言は、医療の判断ではありません。予告です。予告だけは、その場で渡せる手段を持っておく価値があります。

翻訳アプリを診察室で使いにくかった理由

先生や歯科衛生士の方の中には、自分のスマートフォンの翻訳アプリで乗り切った方もいます。そして、たいてい2つのところで立ち止まります。

1つめは患者さんの情報です。症状、既往歴、飲んでいる薬、アレルギー。多くの翻訳アプリは、話した声をいったんインターネットの向こうのサーバーへ送ります。医療機関が扱う情報を、社外のサーバーへ通してよいのか。ここで院長の判断が止まります。

2つめは手がふさがることです。手袋をした手で画面をタップして、持ち替えて、患者さんに見せる。診察室でこの往復は現実的ではありません。

クラウドの翻訳アプリは会話をサーバーへ送るが、端末の中で訳す方式では外に出ないことを比べた図
訳す場所が端末の外にあるかどうかで、患者さんの情報の扱いが変わります。

通信を使わない翻訳、という選択肢

私たちが作っている TransferFriends(トランスファーフレンズ)は、翻訳・音声の聞き取り・読み上げの3つとも、スマートフォンの中だけで動かします。最初に言語のデータを入れておけば、あとは通信が一切要りません。

通信していないので、症状も既往歴も飲んでいる薬も、どこへも送られません。院内の情報管理の規程と両立します。ビルの中の医院で電波が細くても、機内モードのままでも動きます。

対応は86言語です。ベトナム語・中国語・英語・ネパール語・ポルトガル語・フィリピノ語・韓国語など、実際に来院される患者さんのことばは入っています。

処置の前に、渡す順番

診察の椅子の横の台にスマホを1台置きます。画面を上下に分けて相手側を180度反転させる表示があるので、椅子に座った患者さんと向かい合ったまま、持ち替えずにやり取りができます。先生が日本語で話す、患者さんのことばで出る。患者さんが話す、日本語で出る。

渡す順番を決めておくと1分で終わります。①今日すること ②削るか削らないか、痛いか痛くないか ③何分くらいか ④痛かったら左手を挙げる ⑤「心配なことは」と聞く。動画の「今日は痛くなるのが心配」は⑤で初めて出てきます。聞かれなければ、言われません。

④の合図は、必ず画面の文字で確かめます。処置が始まったら声は出せません。「痛かったら左手」が渡っているかどうかで、処置中の安心が変わります。

明るい歯科医院の空いた待合室。数脚の椅子と観葉植物
処置の前の1分で、こわがらせずに始められます。

院内で線を引いておくと、迷わない

導入する前に決めておくとよいことが3つあります。1つめはどこまでをアプリで、どこからを通訳にするか。「今日すること」の予告と痛みの合図まではアプリ、診断・治療方針・同意・費用は通訳、と線を引いておくとスタッフが迷いません。

2つめは記録に残すかどうか。訳文をカルテに写すのか、確認だけに使うのか。3つめは端末です。診察室の共用端末に入れておくと、情報管理の説明が一本化できます。

念のため書いておきます。診断・治療方針・抜歯や手術の同意・費用の説明には、必ず医療通訳を入れてください。このアプリは、その手前の「今日は何をするか」を確実に渡すための道具で、通訳の代わりではありません。

よくある質問

ビルの中の医院で電波が弱くても使えますか

使えます。翻訳も音声の聞き取りも読み上げも端末の中で動くので、機内モードのままでも動きます。最初に言語データをダウンロードするときだけ、Wi-Fiのある場所でお願いします。

患者さんの症状や既往歴が外部に送られませんか

送られません。通信を使わないので、会話の中身がサーバーを通ることがありません。院内の情報管理の規程との整合も説明しやすくなります。

医療通訳の代わりになりますか

なりません。診断・治療方針・同意・費用の説明では医療通訳を入れてください。このアプリは、処置の前の「今日は何をするか」を確実に渡すための道具です。

どの言語に対応していますか

86言語です。ベトナム語・中国語・英語・ネパール語・ポルトガル語・フィリピノ語・韓国語など、来院される患者さんのことばはたいてい入っています。

料金はかかりますか

基本の翻訳は無料で使えます。App Store と Google Play のどちらからでも入れられます。

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この記事のアプリは、無料ではじめられます。

iPhone・Androidどちらでも使えます。

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