金額だけがひとり歩きする。外国人のお客様に修理の見積りを説明するとき
自動車整備工場で外国人のお客様に修理の見積りを説明するとき、金額だけが先に伝わって「高い」で止まります。部品と工賃の理由を伝える難しさ、翻訳アプリが工場で止まる理由、見積りの中身をその場で渡す方法をまとめました。
整備工場の方から伺った話です。車検で入ったアメリカ人のお客様に、ブレーキの部品交換が要ると説明する。見積りを見せる。「Why so expensive?」で止まる。
整備士のほうは、理由を持っています。パッドが限界で、ローターにも傷がある。放っておけば危ない。理由はあるのに、金額しか渡せない。だから「高い」だけが残ります。
この記事では、見積りの説明のどこが抜けるのか、そして金額ではなく理由から伝えるには何が要るのかを整理します。
数字は見せれば伝わります。「なぜその部品が要るか」は言葉が要ります。抜けるのはそこです。
鉄骨の建屋とピットの中では、クラウドの翻訳が止まります。通信を使わないので、リフトの横でも動きます。
端末の中だけで訳すので、ナンバーや連絡先がサーバーへ送られません。
見積りは、金額だけが先に伝わる
見積書は数字で書かれています。数字は言葉が無くても読めます。だから外国人のお客様にも、金額だけは確実に伝わります。
伝わらないのは、その金額の理由です。「ブレーキパッドが限界です」「ローターに傷があるので一緒に替えます」「このまま乗ると止まりにくくなります」。数字の横に書いていない部分が、口頭でしか伝わらないのに、口頭では伝わらない。
理由が抜けた見積りは、ただの高い数字です。お客様は「ぼったくられているのでは」と感じ、整備士は「安全のためなのに」と感じる。どちらも正しいのに、間に道が無い状態です。
英語の見積書があっても足りない理由
英語の見積書や部品名の対訳表を用意している工場もあります。これはとても有効です。ただ、それで足りるのは「何を替えるか」までです。
お客様が本当に知りたいのは「なぜ今か」「替えないとどうなるか」「安くする方法はあるか」です。これは見積書に書けません。その人の車、その人の乗り方、その人の予算に合わせて、その場で答える話です。
そして、その場で答えられないと、お客様は別の店へ行きます。安い店ではなく、説明してくれる店へ。整備の技術ではなく、説明の道が無いことで、お客様を失っています。
翻訳アプリを工場で使えなかった理由
すでにスマートフォンの翻訳アプリを試した整備士の方も多いはずです。そして、たいてい2つの壁にぶつかります。
1つめは電波です。鉄骨の建屋、リフトの下、ピットの中。工場の中は電波が細く、圏外の場所も珍しくありません。多くの翻訳アプリは声をいったんサーバーへ送るので、電波が無いと止まります。お客様を車の横に立たせたまま「読み込み中」は、気まずい時間です。
2つめはお客様の情報です。ナンバー、車検証の内容、連絡先、支払いの話。翻訳アプリを通すたびに社外のサーバーへ送られています。それを誰が説明できるのか。ここで導入が止まっている工場を実際に見てきました。
通信を使わない翻訳、という選択肢
私たちが作っている TransferFriends(トランスファーフレンズ)は、翻訳・音声の聞き取り・読み上げの3つとも、スマートフォンの中だけで動かします。最初に言語のデータを入れておけば、あとは通信が一切要りません。
リフトの横でも、ピットの中でも、機内モードのままでも動きます。通信していないので、ナンバーも連絡先も、どこへも送られません。
対応は86言語です。英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語・タガログ語など、実際に来店されるお客様のことばは入っています。
見積りを渡すときの、伝わる順番
使い方は簡単です。アプリで「対面」モードを選び、相手の言語を選ぶ。カウンターか車のボンネットにスマホを置いて、日本語で話す。相手のことばで訳が出て、読み上げも流れます。相手が話せば、日本語になって返ってきます。
順番が大事です。金額は最後に出します。①どこが悪いか(現物を見せながら)②放っておくとどうなるか ③何を替えるか ④それでいくらか ⑤安くする方法があるか。動画の「なぜこんなに高いのか」は、①〜③が抜けたまま④だけ渡したときに出る言葉です。
金額と部品名は、必ず画面の文字で確かめます。訳文は文字でも出るので、見積書と画面を並べて、該当の行を一緒に指さします。声だけで進めると、ここが聞き違いになります。
安全に関わることは、必ず伝える
最後に、いちばん大事なことを書いておきます。「このまま乗ると危ない」は、伝わったつもりで済ませないでください。
ブレーキ、タイヤ、ステアリング。命に関わる部品の話は、金額の話とは別です。お客様が修理を断るのは自由ですが、危険を知らないまま断らせないのが整備士の仕事です。訳文を画面に出して、読んでもらって、うなずいてもらう。この30秒を惜しまないでください。
英語が話せるようになる必要はありません。必要なのは、理由と危険だけを、確実に一度伝えることです。
よくある質問
使えます。翻訳も音声の聞き取りも読み上げも端末の中で動くので、機内モードのままでも動きます。最初に言語データをダウンロードするときだけ、Wi-Fiのある場所でお願いします。
送られません。通信を使わないので、会話の中身がサーバーを通ることがありません。
一般的な部品名は訳せます。専門的な型番などは、見積書と画面を並べて該当の行を一緒に指さすのが確実です。
86言語です。英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語・タガログ語・韓国語など、来店されるお客様のことばはたいてい入っています。
基本の翻訳は無料で使えます。App Store と Google Play のどちらからでも入れられます。
この記事のアプリは、無料ではじめられます。
iPhone・Androidどちらでも使えます。
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