貼り紙は、読めなければ無いのと同じ。温泉旅館で、入浴のお願いを湯船の前に渡す
温泉旅館や日帰り温泉で、外国人のお客様に「体を洗ってから」「タオルは湯に入れない」などの入浴マナーが伝わらないと、湯船で注意することになります。多言語の貼り紙で足りない理由と、湯船に入る前にお願いを渡す方法をまとめました。
温泉旅館の湯番の方から伺った話です。多言語の貼り紙は、脱衣所にも浴場にも貼ってある。それでも、タオルを湯船に入れる方、体を洗わずに入る方がいる。注意するのは、湯船の中。いちばん気まずい場所です。
お客様は決まりを破ったつもりはありません。貼り紙を読んでいなかったか、読んでも自分の国の習慣と違うので気づかなかっただけです。注意された側は、楽しみにしていた温泉が、恥ずかしい思い出になります。
この記事では、入浴マナーがなぜ届かないのか、そして湯船に入る前にお願いを渡すには何が要るのかを整理します。
入ってからの注意はお互いに気まずい。入る前の30秒で渡します。
「タトゥーは」「子どもは」「湯あたりしたら」の質問に、貼り紙は答えられません。
通信を使わないので、圏外の温泉地でも動きます。
貼り紙が読まれない、3つの理由
多言語の入浴マナーの貼り紙は、いまや多くの温泉に整っています。それでも届かないのには理由があります。
1つめは読まれないこと。旅先で浮かれているとき、脱衣所の壁の文字を最後まで読む人は多くありません。2つめは言語が合わないこと。英・中・韓の3言語では、タイ語やベトナム語、インドネシア語のお客様に届きません。
3つめがいちばん大きく、貼り紙は一方通行だということです。「私のタトゥーは大丈夫ですか」「子どもも体を洗いますか」「湯あたりしたらどうすれば」。その人だけの質問に、貼り紙は答えられません。聞けなかった人は、自分の国の習慣で入ります。
注意するなら、湯船の中ではなく入口で
湯番の方が最もつらいのは、湯船の中で注意することだと言われます。お客様は裸で、周りには他のお客様がいる。言葉が通じないので、身振りで止めるしかない。止められた側の顔を見るのがつらい、と。
同じお願いを、脱衣所の入口で服を着たまま30秒で渡せていれば、湯船での注意はそもそも起きません。決まりごとは、入る前に渡すものです。
そして入口で渡すには、貼り紙ではなく、その人と向き合って話す手段が要ります。「体を洗ってから」「タオルは湯に入れない」「髪はまとめて」。3つだけです。3つだけを、確実に。
翻訳アプリを宿で使えなかった理由
すでにスマートフォンの翻訳アプリを試した宿の方も多いはずです。そして、たいてい1つの壁にぶつかります。電波です。
温泉地は山あいや谷あいにあり、基地局から遠い場所がほとんどです。建物の奥の浴場は、さらに電波が細くなります。多くの翻訳アプリは、話した声をいったんインターネットの向こうのサーバーへ送ります。電波が無ければ、何も返ってきません。いちばんもてなしたい場所が、いちばん通じない場所になっています。
もう1つ、宿泊者の名前や部屋番号、体調の話が会話に混ざります。それを社外のサーバーへ送ってよいのか。ここで導入が止まっている宿も見てきました。
通信を使わない翻訳、という選択肢
私たちが作っている TransferFriends(トランスファーフレンズ)は、翻訳・音声の聞き取り・読み上げの3つとも、スマートフォンの中だけで動かします。最初に言語のデータを入れておけば、あとは通信が一切要りません。
山あいの宿でも、浴場の入口でも、機内モードのままでも動きます。通信していないので、お客様の名前も体調の話も、どこへも送られません。
対応は86言語です。中国語・韓国語・英語・タイ語・ベトナム語・インドネシア語・フランス語・ドイツ語など、実際に宿泊されるお客様のことばは入っています。
脱衣所の入口で、渡す順番
脱衣所の入口の棚にスマホを1台置きます。画面を上下に分けて相手側を180度反転させる表示があるので、向かい合ったまま、持ち替えずにやり取りができます。湯番が日本語で話す、お客様のことばで出る。お客様が話す、日本語で出る。
渡す順番を決めておくと30秒で終わります。①湯船に入る前に体を洗う ②タオルは湯に入れない ③髪はまとめる ④「気になることは」と聞く。動画の「入る前に体を洗うのですか」は、④の道があって初めて出てくる質問です。
タトゥーや体調の話が出たら、その場で答えます。訳文は文字でも残るので、宿の決まりを画面で見せながら、丁寧に渡せます。注意ではなく、案内として。
宿で先に決めておくと、迷わない
導入する前に決めておくとよいことが2つあります。1つめは渡す3つを決めること。宿ごとに決まりは違います。いちばん困っている3つだけに絞ると、湯番が迷いません。
2つめは端末です。湯番が交代しても同じ言葉で渡せるように、脱衣所の入口に置く共用の1台にしておきます。一度声に出して通しておくと、本番でもそのまま出てきます。
英語が話せるようになる必要はありません。必要なのは、気持ちよく入ってもらうための3つを、湯船の前に確実に渡すことです。
よくある質問
使えます。翻訳も音声の聞き取りも読み上げも端末の中で動くので、機内モードのままでも動きます。最初に言語データをダウンロードするときだけ、Wi-Fiのある場所でお願いします。
脱衣所の入口など、湯気の直接当たらない場所でお使いください。防水ケースに入れておくと安心です。
送られません。通信を使わないので、会話の中身がサーバーを通ることがありません。
86言語です。中国語・韓国語・英語・タイ語・ベトナム語・インドネシア語・フランス語・ドイツ語など、宿泊されるお客様のことばはたいてい入っています。
基本の翻訳は無料で使えます。App Store と Google Play のどちらからでも入れられます。
この記事のアプリは、無料ではじめられます。
iPhone・Androidどちらでも使えます。
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