採るか採らないかで、値段が変わる。農園の外国人実習生に収穫の基準を渡す
農園で技能実習生や特定技能の外国人スタッフに収穫の基準(色・大きさ・熟度)が伝わらないと、採り直しと出荷のロスになります。畑で翻訳アプリが動かない理由と、電波が無くても「どれを採るか」をその場で渡す方法をまとめました。
果樹農家の方から伺った話です。収穫の朝、インドネシアから来た実習生に、採っていいものを教える。赤いものを見せて、青いものを見せて、うなずいてもらう。昼に見たら、かごの半分が青い。
実習生は怠けていたわけではありません。「どこからが赤か」が分からなかっただけです。色の境目は、見せるだけでは伝わりません。そして畑は圏外で、聞き返す手段もありませんでした。
この記事では、収穫の指示のどこが抜けるのか、そして電波の無い畑で「どれを採るか」を渡すには何が要るのかを整理します。
この記事の場面を、40秒の動画で
収穫の朝の場面です。インドネシア人の実習生の「どれを採っていいか分からない」に、「赤いものだけ、青いものは残す」が電波の無い畑で伝わるまでを40秒にまとめました。
赤と青は見せられます。「これは採る、これは残す」の境目は言葉が要ります。
山あいの農地はたいてい圏外です。通信を使わないので、畑の真ん中でも動きます。
基準が一度で伝われば、朝の1分が午後の1時間になります。
見せても伝わらないのは「境目」
収穫の指示のうち「この色を採る」は、見本を見せれば伝わります。実習生は見本どおりのものを採ってきます。止まるのはそこではありません。
止まるのは、見本と見本の間です。「これは赤いけどまだ早い」「これは少し青いけど今日採らないと明日は遅い」「大きくても形が悪ければ残す」。見本には無い判断が、口頭でしか伝わらないのに、口頭では伝わらない。
結果、かごには境目の判断が入っていない果実が混ざります。採り直しは、その日の出荷のロスです。そして翌日も同じことが起きます。
畑には、聞き返す相手がいない
農作業は、広い畑に少人数で散らばります。実習生が迷ったとき、近くに聞ける人がいません。農家の方は別の列にいて、声も届きません。
そして、分からないまま止まっていると、遅れているように見えます。聞くより、採ったほうが楽になる。それが青い実の正体です。責める話ではなく、構造の話です。
聞き返せる手段が手元にあれば、迷った実を持って聞きに行けます。その1往復があるかどうかで、午後のかごの中身が変わります。
翻訳アプリを畑で使えなかった理由
すでにスマートフォンの翻訳アプリを試した農家の方も多いはずです。そして、畑では1つの壁にぶつかります。電波です。
山あいの農地、谷あいの果樹園、ビニールハウスの奥。多くの翻訳アプリは、話した声をいったんインターネットの向こうのサーバーへ送ります。電波が無ければ、何も返ってきません。いちばん指示が要る場所で、いちばん動かない道具になっていました。
「事前にダウンロードすればオフラインで使える」と書かれたアプリでも、文字の翻訳だけがオフライン対応で、声の聞き取りや読み上げは通信が要るものが多くあります。手が土で汚れている畑で、文字を打つのは現実的ではありません。
通信を使わない翻訳、という選択肢
私たちが作っている TransferFriends(トランスファーフレンズ)は、翻訳・音声の聞き取り・読み上げの3つとも、スマートフォンの中だけで動かします。最初に言語のデータを入れておけば、あとは通信が一切要りません。
畑の真ん中でも、ハウスの奥でも、機内モードのままでも動きます。要るのは電池だけです。声で話して声で返ってくるので、手が汚れていても使えます。
対応は86言語です。インドネシア語・ベトナム語・中国語・フィリピノ語・ミャンマー語・カンボジアのクメール語・ネパール語など、農業の現場に実際にいる方のことばは入っています。
収穫の朝、畑に出る前の1分
使い方は簡単です。アプリで「対面」モードを選び、相手の言語を選ぶ。軽トラの荷台にスマホを置いて、日本語で話す。相手のことばで訳が出て、読み上げも流れます。相手が話せば、日本語になって返ってきます。
畑に出る前に1分だけ使います。順番は①今日採るものを相手に言ってもらう ②採る基準と残す基準を1つずつ ③迷ったらどうするか。①が大事です。こちらが説明するのではなく、相手に言ってもらうと、抜けている部分がその場で見えます。
③がいちばん効きます。「迷ったら採らずに持ってきて」。動画の「どれを採っていいか分からない」は、この道があって初めて出てくる言葉です。聞ける道が無いと、青い実になります。
農薬と機械のことは、必ず確かめる
最後に、いちばん大事なことを書いておきます。農薬の散布のあとに入ってはいけない期間、機械の扱い、刃物の向き。安全に関わる指示は、伝わったつもりで済ませないでください。
農作業の事故は、知らなかったことから起きます。訳文を画面に出して、読んでもらって、うなずいてもらう。この30秒を惜しまないでください。
英語が話せるようになる必要はありません。必要なのは、採る基準と危ないことだけを、確実に一度伝えることです。
よくある質問
使えます。翻訳も音声の聞き取りも読み上げも端末の中で動くので、機内モードのままでも動きます。最初に言語データをダウンロードするときだけ、Wi-Fiのある場所でお願いします。
声で話して声で返ってくるので、画面を触るのはボタンを押すときだけです。防水ケースに入れておくと安心です。
送られません。通信を使わないので、会話の中身がサーバーを通ることがありません。
86言語です。インドネシア語・ベトナム語・中国語・フィリピノ語・ミャンマー語・クメール語・ネパール語・英語など、農業の現場で必要になるものは入っています。
基本の翻訳は無料で使えます。App Store と Google Play のどちらからでも入れられます。
この記事のアプリは、無料ではじめられます。
iPhone・Androidどちらでも使えます。
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