あとで「聞いていない」と言われる前に。携帯ショップで外国人のお客様に契約の条件を渡す
携帯ショップで外国人のお客様に、解約の条件・月額の内訳・オプションの説明が伝わらないまま契約すると、あとで「聞いていない」になります。日本語の契約書が読めない理由と、条件をその場で相手のことばに変えて渡す方法をまとめました。
携帯ショップのスタッフの方から伺った話です。ベトナムから来たお客様が、新しい契約に来られる。書類を渡し、要点を指さし、うなずいてもらって、契約。半年後、解約に来て「聞いていない」。
スタッフは説明したつもりでした。お客様は聞いていないつもりでした。どちらも嘘ではありません。日本語の書類を指さしても、日本語が読めない人には届きません。渡したことと、伝わったことは別です。
この記事では、契約の説明のどこが抜けるのか、そして条件をその場で相手のことばに変えて渡すには何が要るのかを整理します。
解約の条件、月額の内訳、オプション。ここだけは契約のその場で相手のことばにしておくと、あとが変わります。
端末の中だけで訳すので、身分証や支払いの話がサーバーへ送られません。
金額と期間は画面の文字で確かめられます。声だけで進めないので「聞いていない」が減ります。
渡したことと、伝わったことは別
携帯の契約書類は、会社ごとに整っています。重要事項の説明、料金の内訳、解約の条件。渡すところまでは、どの店もできています。
届いていないのは、その先です。日本語の書類は、日本語が読める人にしか読めません。多言語版を用意している会社もありますが、その人の母語とは限らないうえに、書類は一方通行です。「これはどういう意味ですか」を聞く道がありません。
結果、お客様は分からないまま署名します。条件を知らないまま使い始め、解約のときに初めて知ります。いちばんもったいない知り方です。
もめるのは、いつも同じ3つ
携帯ショップに戻ってくる苦情は、驚くほど決まっています。解約の条件、月額の内訳、オプションの3つです。
共通しているのは、どれも「日本では当たり前」で説明が省かれやすいことです。2年の縛り、初月無料のオプションが翌月から有料になること、端末代の分割が残ること。母国に同じ仕組みが無ければ、言われなければ分かりません。
逆に言えば、この3つだけを契約のその場で相手のことばにしておけば、「聞いていない」の大半は来なくなります。書類に書いてある、では足りません。読めない文字は、書いてあっても伝わっていないのと同じです。
翻訳アプリを店で使いにくかった理由
スタッフの方の中には、自分のスマートフォンの翻訳アプリで乗り切った方もいます。そして、たいてい1つのところで立ち止まります。お客様の情報です。
契約の会話には、身分証の内容、住所、支払い方法、クレジットカードの話が混ざります。多くの翻訳アプリは、話した声をいったんインターネットの向こうのサーバーへ送ります。それを社外のサーバーへ通してよいのか。通信会社の情報管理の規程に照らして、ここで店の判断が止まります。
この問題は、訳す場所が端末の外にあることから来ています。
通信を使わない翻訳、という選択肢
私たちが作っている TransferFriends(トランスファーフレンズ)は、翻訳・音声の聞き取り・読み上げの3つとも、スマートフォンの中だけで動かします。最初に言語のデータを入れておけば、あとは通信が一切要りません。
通信していないので、身分証の内容も支払いの話も、どこへも送られません。情報管理の規程との整合を、店が自分の言葉で説明できます。
対応は86言語です。ベトナム語・中国語・ネパール語・インドネシア語・フィリピノ語・ミャンマー語・ポルトガル語・英語など、実際に来店されるお客様のことばは入っています。
契約のその場で、渡す順番
カウンターにスマホを1台置きます。画面を上下に分けて相手側を180度反転させる表示があるので、向かい合って座ったまま、持ち替えずにやり取りができます。スタッフが日本語で話す、お客様のことばで出る。お客様が話す、日本語で出る。
順番を決めておくと5分で終わります。①月額はいくらで、何が含まれるか ②いつまで縛りがあり、早くやめるといくらか ③オプションは何がいつから有料か ④端末代は残るか ⑤「分からないところは」と聞く。動画の「早くやめたらお金がかかりますか」は②ですが、⑤の道があって初めて出てくる質問でもあります。
金額と期間は、必ず画面の文字で確かめます。「一万円」「二年」。訳文は文字でも残るので、書類と画面を並べて、該当の行を一緒に指さします。声だけで進めると、ここが聞き違いになります。
店で先に決めておくと、迷わない
導入する前に決めておくとよいことが3つあります。1つめはどこまでをアプリで、どこからを正式な書面と手続きにするか。条件の説明と確認まではアプリ、契約そのものと重要事項の説明は正式な手順、と線を引いておくとスタッフが迷いません。
2つめは訳文を残すかどうか。「説明した」の記録として画面を残すのか、確認だけに使うのか。あとで「聞いていない」になりやすい項目ほど、残しておくと安心です。3つめは端末です。店の共用端末に入れておくと、情報管理の説明が一本化できます。
念のため書いておきます。契約そのものと重要事項の説明は、必ず正式な手順で行ってください。アプリはその手前の説明を確実にするための道具です。
よくある質問
使えます。翻訳も音声の聞き取りも読み上げも端末の中で動くので、機内モードのままでも動きます。最初に言語データをダウンロードするときだけ、Wi-Fiのある場所でお願いします。
送られません。通信を使わないので、会話の中身がサーバーを通ることがありません。
契約と重要事項の説明は、正式な書面と手順で行ってください。このアプリは、条件の説明と確認など、その手前を確実にするための道具です。
86言語です。ベトナム語・中国語・ネパール語・インドネシア語・フィリピノ語・ミャンマー語・ポルトガル語・英語など、来店されるお客様のことばはたいてい入っています。
基本の翻訳は無料で使えます。App Store と Google Play のどちらからでも入れられます。
この記事のアプリは、無料ではじめられます。
iPhone・Androidどちらでも使えます。
こちらの記事もどうぞ
海外旅行で言葉が通じないとき|黙ってしまう前にできること 旅先で困るのは英語力の不足ではなく、確認できないまま進んでしまうことです。
スマホは翻訳し続けると熱くなる|10分で2〜3割遅くなる実測 長時間の連続通訳では、端末の熱が現実的な上限になります。実際に測った数字です。
4分が11秒になった一行|Androidでオフライン翻訳を速くした話 スマホの中でAIの翻訳を動かすと何が起きるか。実際に測った数字だけで書いた開発の記録です。
避難所で外国人住民に案内が届かない|電波が消えた夜に、自主防災でできること 災害のとき、電波はいちばん先に消えます。その夜に翻訳アプリが動かない理由と、動く選択肢をまとめました。