朝の港には、聞き返す時間がない。水産加工場で外国人の実習生に「氷の上に」をその場で通す
漁港の水産加工場では、朝の数時間に外国人の技能実習生へ「氷の上に」「これは別」「この箱はこっち」が通らないと、魚がだめになります。港に電波が無いこと、水で濡れた手で画面を触れないこと、聞き返す時間が無いこと。3つの壁を越えて、その場で指示を通す方法をまとめました。
漁港の水産加工場で班長をしている方から伺った話です。朝5時、船が着いて、魚が流れてくる。インドネシア人の実習生が、魚の入った箱を持って立ち止まる。「どこに置くか」を聞きたい。でも班長は両手がふさがっていて、身振りで示すしかない。
実習生は床に置いた。氷の上ではなく、床に。朝の港では、その数分で魚の値段が変わります。
この記事では、水産加工の朝にどの一言が通じずに損になるのか、そして電波の無い港で、濡れた手のまま指示を通すには何が要るのかを整理します。
置き場所の指示が一度で通るかどうかで、その日の魚の値段が変わります。
通信を使わないので、防波堤の内側でも冷蔵庫の中でも動きます。
押して話すだけ。画面の操作は最小限で済みます。
朝の港には、聞き返す時間がない
水産加工場の朝は、船が着いてから数時間が勝負です。魚を選別し、氷を敷き、箱に詰め、市場や出荷へ回す。この間、班長は指示を出し続けます。「これは氷の上」「これは別の箱」「これはもう出す」。
外国人の技能実習生が多い加工場では、この指示が通っていないことがあります。「氷」「箱」のような単語は覚えていても、「氷の上に」「こっちの箱に」のような場所の指示が入っていない。そして朝の港には、それを聞き返す時間がありません。
班長の方が言われたのは、「聞き返してくれれば教えられる。聞き返す暇が無いから、間違える」ということでした。指示の側が、一度で届く形になっていなければなりません。
漁港の加工場で、実際に起きていること
水産加工は、外国人の技能実習生がいちばん多い業種の1つです。インドネシア、ベトナム、フィリピン、ミャンマー。日本語の会話は少しずつできるようになっても、朝の作業中の短い指示は、まだ聞き取れないことがあります。
多言語の作業手順書を用意している加工場もあります。それでも朝に止まるのは、手順書に無い判断がその場で起きるからです。今日の魚は大きい、この箱は別に回す、この分は先に出す。日によって変わる指示は、紙には書けません。
そしてもう1つ。港には電波がありません。防波堤の内側、冷蔵庫の中、加工場の奥。スマホの翻訳アプリを開いても、読み込み中のまま止まります。
加工場で翻訳アプリが使えなかった理由
スマートフォンの翻訳アプリを試した班長もいます。壁は3つです。1つめは電波。港と冷蔵庫の中は、圏外が普通です。多くの翻訳アプリは声をインターネットの向こうへ送るので、電波が無いと何も返ってきません。
2つめは手が濡れていることです。魚を触った手袋で画面を操作する時間はありません。押して話して、すぐ相手のことばで出る。この速さでないと、朝の港では使いません。
3つめは音です。ポンプ、フォークリフト、氷を砕く音。騒音の中で聞き取れる道具でなければなりません。
必要なのは、電波が無くても動き、押して話すだけで済み、近くで話せば騒音の中でも聞き取れる道具です。
通信を使わない翻訳、という選択肢
私たちが作っている TransferFriends(トランスファーフレンズ)は、翻訳・音声の聞き取り・読み上げの3つとも、スマートフォンの中だけで動かします。最初に言語のデータを入れておけば、あとは通信が一切要りません。
防波堤の内側でも、冷蔵庫の中でも、機内モードのままでも動きます。要るのは電池だけです。防水ケースに入れて作業台に置いておけば、朝のあいだ動き続けます。
対応は86言語です。インドネシア語・ベトナム語・フィリピン語(タガログ語)・ミャンマー語・ネパール語・中国語など、水産加工の現場で実際に働く方のことばは入っています。
作業台の10秒で、置き場所を渡す
作業台の端に、防水ケースに入れたスマホを1台置きます。班長が日本語で話すと相手のことばで出て、実習生が話すと日本語で出ます。押して話すだけで、濡れた手袋のまま使えます。
朝いちばんに渡すのは3つです。①今日の魚の置き場所 ②別に回す箱 ③先に出す分。動画の「この魚はどこに置かれていますか」は、この3つが最初に渡っていれば、その場で答えられます。「その魚は、氷の上に置いてください」が、そのまま相手のことばになります。
騒音が大きいときは、画面の文字で確かめます。訳文は文字でも出るので、フォークリフトが通っているあいだは、画面を一緒に見て確認します。
加工場で先に決めておくと、迷わない
導入の前に決めておくとよいことが2つあります。1つめは朝の定型文です。「氷の上に」「これは別の箱」「これは先に出す」「手を止めて」。よく使う10個ほどを決めて、一度声に出して通しておくと、本番でそのまま出てきます。
2つめは端末の置き場所です。班長のポケットではなく、作業台に固定。防水ケースに入れて、朝のあいだ電源を入れたままにしておきます。
インドネシア語が話せるようになる必要はありません。必要なのは、朝の「氷の上に」を、一度で確実に渡すことです。
よくある質問
使えます。翻訳も音声の聞き取りも読み上げも端末の中で動くので、機内モードのままでも動きます。最初に言語データをダウンロードするときだけ、Wi-Fiのある場所でお願いします。
近くで話せば聞き取れます。音が大きいときは、画面の文字で確認してください。訳文は文字でも出ます。
防水ケースに入れて作業台に置いてお使いください。押して話すだけなので、画面の操作は最小限で済みます。
86言語です。インドネシア語・ベトナム語・フィリピン語・ミャンマー語・ネパール語・中国語など、水産加工の現場で働く方のことばはたいてい入っています。
基本の翻訳は無料で使えます。App Store と Google Play のどちらからでも入れられます。
この記事のアプリは、無料ではじめられます。
iPhone・Androidどちらでも使えます。
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