注意ではなく、説明を。外国人の住民にゴミの分別を伝える、集積所の朝
町内会・自治会でゴミ集積所の当番をしていると、外国人の住民の分別違いに困ります。貼り紙や多言語の分別表で足りない理由、注意すると関係が悪くなる理由、集積所のその場で「注意」ではなく「説明」として渡す方法をまとめました。
町内会の当番の方から伺った話です。朝の集積所に、ペルーから来た住民の方が袋を持ってくる。中にプラスチックが混ざっている。今日は燃えるゴミの日。「それは違う」と言いたい。でも言えない。
言えないまま黙って見ていると、袋は置いていかれ、回収されずに残り、貼り紙が増え、ご近所の空気が悪くなる。住民のほうは、何が悪かったのかを知らないままです。
この記事では、分別がなぜ届かないのか、そして注意ではなく説明として、集積所のその場で渡すには何が要るのかを整理します。
この記事の場面を、40秒の動画で
朝のゴミ集積所の場面です。ペルー人の住民の「このプラスチックは同じ袋でいいの」に、「水曜日の朝に別の袋で」が注意ではなく説明として伝わるまでを40秒にまとめました。
読めない貼り紙が増えると、責められていると感じます。向き合って説明するほうが早い。
「プラスチックは水曜の朝、別の袋で」。この一言が渡れば、次の週から変わります。
その場で説明して「分かった」が返ってくると、注意した・された、にならずに済みます。
分別の決まりは、貼り紙では伝わらない
ゴミの分別は、自治体ごとに違い、しかも細かい。日本人でも引っ越したばかりのときは迷います。母国に「分別」という習慣そのものが無い方にとっては、なおさらです。
多言語の分別表を配っている自治体は増えました。それでも集積所で違いが起きるのは、分別表は読む前提のものだからです。「このプラスチックは同じ袋でいいのか」という、いま手に持っている袋についての質問には、表は答えられません。
そして集積所に貼り紙が増えると、外国人の住民には「自分が責められている」と映ります。読めない貼り紙は、内容ではなく量で伝わります。
注意すると、関係が悪くなる
当番の方がいちばん避けたいのは、ご近所の関係が壊れることです。注意すれば、された側は身構えます。言葉が通じなければ、身振りの注意は「怒られた」にしか見えません。
一方で、黙っていれば袋は残り、他の住民から当番へ苦情が来ます。言っても言わなくても、当番が困る。だから多くの当番の方が、黙って自分で分け直しています。
この状況を変えるのは、注意ではなく説明です。「プラスチックは水曜日の朝に、別の袋で出してください」が向き合って渡り、「分かった」が返ってくれば、注意した・された、にはなりません。説明は、関係を壊しません。
集積所で翻訳アプリが使いにくかった理由
当番の方の中には、自分のスマートフォンの翻訳アプリを試した方もいます。そして、集積所では1つのところで止まります。朝の集積所は、時間が無いことです。
住民は出勤前です。当番も片づけの途中です。画面をタップして、持ち替えて、相手に見せる往復をしている時間はありません。向き合ったまま、持ち替えずに話せる形でないと、集積所では使えません。
もう1つ、住宅地の集積所は建物の陰や地下の駐車場にあることも多く、電波が細い場所があります。多くの翻訳アプリは声をサーバーへ送るので、電波が無いと止まります。
通信を使わない翻訳、という選択肢
私たちが作っている TransferFriends(トランスファーフレンズ)は、翻訳・音声の聞き取り・読み上げの3つとも、スマートフォンの中だけで動かします。最初に言語のデータを入れておけば、あとは通信が一切要りません。
建物の陰でも、地下の駐車場でも、機内モードのままでも動きます。画面を上下に分けて相手側を180度反転させる表示があるので、向き合ったまま、持ち替えずにやり取りができます。
対応は86言語です。スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語・中国語・ネパール語・フィリピノ語・インドネシア語など、地域に住む外国人の方のことばは入っています。
集積所の朝、渡す順番
スマホを1台出して、住民の方と向き合います。当番が日本語で話す、住民のことばで出る。住民が話す、日本語で出る。それだけです。
30秒で渡すのは2つです。①この袋の中で、今日出せないものは何か ②それは何曜日に、どの袋で出すか。動画の「このプラスチックは同じ袋でいいの」は①で出てきます。①の答えとして②を渡すのが、集積所の核心です。
曜日と袋の種類は、必ず画面の文字で確かめます。「水曜日」「別の袋」。訳文は文字でも残るので、分別表と画面を並べて、該当の行を一緒に指さすと確実です。注意ではなく、案内として。
町内会で先に決めておくと、迷わない
導入する前に決めておくとよいことが2つあります。1つめは渡す言葉を決めること。自治体の分別は細かいので、集積所で困っている上位3つ(プラスチック、缶・びん、粗大ごみ)だけに絞ると、当番が迷いません。
2つめは端末です。当番が交代しても同じ言葉で渡せるように、町内会で1台用意しておくか、当番の引き継ぎに入れておきます。一度声に出して「プラスチックは水曜日の朝に、別の袋で出してください」を通しておくと、本番の朝にそのまま出てきます。
英語が話せるようになる必要はありません。必要なのは、注意ではなく説明として、曜日と袋を確実に一度渡すことです。
よくある質問
使えます。翻訳も音声の聞き取りも読み上げも端末の中で動くので、機内モードのままでも動きます。最初に言語データをダウンロードするときだけ、Wi-Fiのある場所でお願いします。
送られません。通信を使わないので、会話の中身がサーバーを通ることがありません。
一般的な語(プラスチック、缶、びん、燃えるゴミ)は訳せます。自治体独自の区分は、分別表と画面を並べて該当の行を一緒に指さすのが確実です。
86言語です。スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語・中国語・ネパール語・フィリピノ語・インドネシア語・英語など、地域に住む外国人の方のことばはたいてい入っています。
基本の翻訳は無料で使えます。App Store と Google Play のどちらからでも入れられます。
この記事のアプリは、無料ではじめられます。
iPhone・Androidどちらでも使えます。
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